02/24

■小春日和

 朝起きて、カーテン開けて雨戸を開けて。
 天気が良かったから洗濯することにした。
 溜まっていた洗濯物と洗剤を放りこみ、スイッチを入れる。中古で買った二層式の洗濯機が唸りを上げ、緩慢に回転を始めた。
 調子が悪かったら叩いて直す。それが私の常識だ。今日の天気の良さには洗濯機も機嫌がいい。よしよし、と私も機嫌がいい。
 マグカップに紅茶を入れ、窓際に座る。サトウが膝にのってきた。もごもごと鼻を動かし、ぴくぴくと長い耳を動かす。そろそろ夏毛に変わるのか、ここのところ毛の抜け方が激しい。抜けた毛をロールクリーナーで取りながら、サトウ専用のブラシで背を梳いてやる。明日にでも風呂にいれてやるといいかもしれない。
 ウサギは懐かない、と聞いたことがある。もちろんサトウも小心で人見知りをする。来客があれば自分の城に戻って目を閉じている。だけど、私を同居人と認識しているので、時々こうやって甘えてくる。
 恋人みたいなものかもしれない。
 ひくひくと鼻を動かすサトウの前に掌を差し出す。その上にはドライフルーツを少しだけのせてある。
 四月上旬の気候、とつけっぱなしのテレビのアナウンサーが言っていた。
 シャツ一枚で過ごしている。セーターは防虫剤とともに押入れの奥に追いやろう。コタツはまだ必要だけど、ヒーターはもういらない。
 似たようなアパートが並ぶ窓からの風景。
 向かいの家の庭、梅が咲いている。
 甘くない紅茶を一口含む。

 冬が終わる。

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