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■こいのぼり

 例えるならば一枚の敷布。曇りもなくむらもない。澄んだ心をそのまま写したかのような青空。
 その下に立ち、少女は小さな頭で仰ぐ。
 青い敷布にぽつんと小さな点が見えた。
 白い点は少女の真上で手のひらほどの円になり、頭がすっぽり入りそうな輪になった。ぐんぐんと大きくなって、ひらりと少女の頭を避けた。
 白い輪を視界から逃すまいと少女は目で追った。
 上を向いていた顔は横を向いた。
 ぱさりと乾いた音を立てて白い輪が少女の目の前に不時着する。
 一瞬、道路からカラフルな柱がそびえているように見えた。
 ふわりと一匹の鯉のぼりが地面に降り立った。

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